シアワセ色の花 ~before dawn~

妄想小説です

バックミュージック及びエンディングテーマに「シアワセ色の花」をイメージして文章にしています。

「Stand by U」シリーズのユノ目線です。

けれどこのお話は、ユノが出会ったであろう多くの人々の、

そのうちのひとりの目線で書いた妄想小説です。


「Stand by U」を最初からお読みいただける方はこちら「Stand by U」から

「シアワセ色の花」を最初からお読みいただける方はこちら「シアワセ色の花」から

お読みいただけると嬉しく思います。



いつも愛あるコメントとポチっと
本当にありがとうございます。

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から「before dawn」がはじまります。

haruno





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シアワセ色の花 ~before dawn~


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その青年を見たのは初めてではなかった



私は愛犬とともに、この海辺を早朝と夕方の2回、散歩をすることが10年以上の日課となっていた



愛犬は私と同じように人生の折り返し地点を軽く超え
一人と一匹でお互い寄り添うように、穏やかな余生をここで過ごしていた





早朝の海は穏やかで、水平線の彼方から陽が少しずつ登り始めるのを見るのがとても好きだった


水面が明るく照らし出され
肌に少しずつ温かみが感じられ
誰にでも、どんな人にも、平等に新しい1日が与えられる



そんな時間がとても好きだった



そして、夕方には太陽が水平線の彼方に沈み
今日1日の出会いや出来事をゆっくりと思い出す


今日1日生かされたことに感謝し
また明日、手付かずの新しい1日を無事に迎えられますようにと
静かに祈りを捧げる



そんな時間がとても好きだった







私がその青年を見かけるようになったのはここ1,2ヶ月位のことだった


何度も会ったわけではないが
早朝のこの時間に出会う人の数は限られていたし
気にせず見過ごすには彼は目立ちすぎていた


帽子を目深にかぶり、とてもラフな格好をしていたが
遠めに見たって彼はとても背が高く
端正な顔立ちをしているのはよくわかった



その青年は多くの場合、防波堤の上に腰を下ろし
陽が昇るのをじっと見ていた



何時間か、あるいは何分か
何をするわけでもなくじっとそこに座り


そうして意を決したように立ち上がり、その場から去ってゆく



その姿は次の目的地があるようにも見えるし
あてもなく次の目的地を探しているようにも見えた




20代前半位の歳の頃だろうか

あどけなくも見えるし大人びても見える
不思議な雰囲気の青年だった



普段私はそんなに周りにいる人を気にするタイプではない

でも、なぜだかその青年には心惹かれるものがあった





ある夜明けに

彼はまたいつもの場所に座っていた



その時愛犬のリードが絡まってしまい
私はその絡まりを直そうとして一旦首輪を外していた

するとめずらしく
愛犬がその青年のそばへと走っていってしまった


本当にめずらしいことだった


警戒心こそ強くはないが、愛犬が私のそばから離れることは滅多にないことだったから



青年は愛犬に気づき、頭を撫でながら顔を寄せていた


 -ごめんなさい。リードが絡まっちゃって。少しの間取った隙に・・

 -大丈夫です。俺も犬を飼っていますから・・・



そういって彼は少しはにかんだような顔をした

近くで彼を見て、やはり思ったよりあどけないと思った




私はお互い初めて・・という空気を感じず
実は彼も私と愛犬の存在を前から気づいていたようにも思えた


そんな不思議な親近感からか
私は思い切って彼に尋ねてみた




 -よく、海をじっと見ているわね・・・



返事をする代わりに彼は少し微笑み、小さく頷いた

ちょうど、水平線から陽が頭を出し、少しずつ水面に光が反射し始めていた



 -私もね、この時間の海が大好きなのよ。



彼はじっと海を見つめていた



 -何もかもね、新しくはじまる気がするのよ。この年になってもね。



私は少し笑って彼を見た。

彼は、なんともいえない顔をしていた
さっきはあどけない、と思っていた彼が、今はとても大人びて見える
大人びてというより、憂いを帯びた悲しい顔をしていた





 -俺は・・・


 -俺は・・失ったものを考えています・・・




彼はじっと海を見ながら、
波に消されてしまうほどの小さな声でつぶやいた






太陽が少しずつ少しずつ、けれど着実に水平線からのぼってくる


彼の端正な顔にも、少しずつ光が射していく







ふと気づくと
彼は泣いていた


声も出さずに
肩をかすかに震わせながら


その姿は、私が今まで見た中で
1番悲しく、そして1番美しい涙に見えた




この青年に何があったのか
私にはもちろんわからない

けれど、こんな早朝に何度もここへ足を運び
失ったものばかりを考えている、という若い彼を見ると
よっぽどのことがあったのだろうと想像せざるを得ない





私はそっと彼の背中に手をおいた




  -失いたくなかったんです



彼は振り絞るように口をきいた
 


  -俺が・・・守れなかったんです





私にはもちろん何の話をしているのかはわからなかった

きっと彼もだからこその告白なのだろう



でも、私は彼の言わんとしていることが、なんとなく、わかる気がしていた





誰しもが通る人生の分岐点
超えなくてはいけない壁
自分との戦い



彼はきっと、今がその時なのだろう



私はそんな時代が懐かしくもあり、同時に彼が抱えているであろう孤独を思うと切なくもあり
名前も知らないその青年に対し、驚く程の親愛の情を抱いていた






 -私も今ままでの人生の中で、多くのものを失ってきたわ



彼は顔を上げ、まだ頬に涙の跡が残る顔で、じっと私を見つめていた




 -でも、取り返せるものもあるし、もう二度と取り返せないものもあった
  自分の心でさえね、不自由なのに・・・
  他人の心まではどうにもならないしね





彼は私を見ているようで、でも私の向こう側にある何かを見ているようでもあった




私は愛犬の頭を撫でながら、この青年に言うべき言葉を探していた



でもきっと、彼は自分で答えをみつけるのだろう
彼の澄んだ瞳を見ていると、彼のこれまでの誠実な人生が伝わってくる




 -今、あなたが大切なものを見失なわないようにね




その一言だけをいって、私は立ち上がった
愛犬がもう待ちくたびれている



彼はじっと海を見ていた
ちょうど、太陽が水平線から登りきったところだった



何かしら彼の心にひっかかるものがあったのか、それはわからない



 -私は散歩の続きをするわ。それじゃあね。



私がそう言うと彼も立ち上がり、ズボンの後ろをパンパンと叩く



 -ありがとうございました



彼は丁寧に頭を下げ、まっすぐな瞳で私を見つめた

その瞳は、本当に澄んでいた
その澄んだ輝きは、太陽の輝きのせいだけではないのだろう




彼は歩き始めた

次の目的地に向かっているのだろうか
次の目的地を探しているのだろうか







私にも・・・こんな時があった



どうか
どうか乗り越えて欲しい



名前も歳も、何も知らない青年だけど
私は彼の幸せを願わずにはいられなかった






どうか あの青年に神のご加護を



私は新しい1日を告げた太陽に

心から祈らずにはいられなかった









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Re: 心が微かに…

鍵コメ「ピ(以下省略)」様
ご訪問&コメント、いつも本当にありがとうございます。
いつもいつも大事に読んで下さっているのが伝わり
とても恐縮しています。
私もね、なくしたものに執着しすぎて、その間に大切なものを失いかけてた時期があったので、少し自分と重ねた部分があります。
私だったらユノにこうゆってあげたいなって。
多分「ユノのせいじゃないよ」って誰が言っても納得しない男だろうから。
なんて、勝手なあたしの妄想です。
haruno

Re: No title

鍵コメ「ku(以下省略)」様
ご訪問&コメント、いつも本当にありがとうございます。
いつか書きたかったんですよ。
第三者の目線で。
ちょっと自分と重ねながら。
何度も読んでいただけたなんて、恐縮です。
いやいや私は只者ですよ。
ただの萌只者です(笑)
コメに文才も何も関係ありませんよ。
時間を割いて書いてくださっているだけで私は感謝しています。
いつも本当にありがとうございます。
haruno

Re: あわわわ

鍵コメ「yuco(以下省略)」様
ご訪問&コメント、いつも本当にありがとうございます。
yuco様だってわかりましたよ~♥
でもそこまでしてコメしていただき、本当に恐縮です。
自分の書いたもので、いろいろ感じて下さり
なんか・・申し訳ないやら嬉しいやら・・・
でも大事に大事に書いているつもりではいます。
大事な2人のことなので。

短編小説の方は・・・
そうなんです。
私の中のチャミはやっぱり男でツンデレ。
だからユノに敬語なんて使わないし、M気もありません。
そういうチャミでしか妄想できません。
そこに気づいて下さり・・・ふふふ♥
ありがとうございます♥
haruno

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Re: お邪魔しまくりで…

鍵コメ「ピ(以下省略)」様
いつも本当にありがとうございます。
コメントをいただける方の中には「文才なくてごめんなさい」とか「長く語ってごめんなさい」とかよく書かれる方がいらっしゃいます。
でも、何度もしつこいようですが、私はこんなブログに少しでも遊びにきてくださって、しかもコメントを書く時間まで割いてくださることだけでも感謝しています。
だからひとりひとりのコメントを本当にありがたく読んでいます。
ピ様のコメントに、本当に愛を感じています。
大事に読んでくださって、本当にありがとうございます。
haruno

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Re: やっぱり

鍵コメ「チャモ(以下省略)」様
ご訪問&コメント、いつも本当にありがとうございます。
そうですね。
実はあたしが言ってあげたいことだったのかな。
ユノ目線なると指が止まるのはチャモ様の言うとおりなのかな?
チャミ目線はね。どんどんかけるんですよ。
多分、根底では奴と似ているんだと思います。あたし(笑)
ユノはあたしにないものばかり持っているので、遠すぎて書けないのかしら。
福山雅治大好きですよ。
聴いてみます。
素敵な情報ありがとうございます。
haruno

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Re: 返・返

鍵コメ「チャモ(以下省略)」様
ご訪問&コメント、いつも本当にありがとうございます。
ふふふ。
真面目に語り始めると止まりませんね~。
でも難しい2人視点の描写、おもしろくもありますよ。
でもお互いを思いやる気持ちやゴール地点は一緒なので、そこに向かって書いていけば自ずと言葉は出てきます。
あくまで妄想ですが(笑)
大事に読みすすめていただき、ありがとうございます。
haruno
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Author:haruno
2011年のレコード大賞「why?(Keep Your Head Down)」で伝説の”秒殺トン堕ち”したharunoのブログです。「BL」や「腐」という言葉の意味すら知らなかった私が、もはや脳の9割近くが腐っています(笑)。ユノとチャンミンの「萌え日記」と「妄想小説」をマイペースに書いています。

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