シアワセ色の花 ~scene1~
妄想小説です。
バックミュージック及びエンディングテーマに「シアワセ色の花」をイメージして文章にしています。
「Stand by U」シリーズのユノ目線です。
詳しくは「Stand by U」をお読みいただけるとうれしいです。
<続きを読む>
から「scene1」がはじまります。
「Stand by U ~scene16~」あたりからのユノです。
haruno
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シアワセ色の花 ~scene1~

地下鉄の路線図を眺めていた
色とりどりの線が、蜘蛛の巣のように張り巡らされている
考えてみれば、故郷から出てきて以来、地下鉄に乗ったのなんて練習生時代のわずかな時間だけだ
それも寮から2,3駅離れたところぐらい
「世界に羽ばたく」なんて言われたものの、俺の知っている世界なんて実は半径10km圏内だったのかもしれない
なんだかおかしくなって自嘲気味に笑う
どこへ行こうか
時間はたっぷりある
そうか・・・・地下鉄にのるまでもない
歩こう
クタクタになるまで
何も考えず
そうして俺は歩くようになった
何日も何日も
行ったこともないところへ
俺の知らないところへ
俺のことを知らない人々のところへ
いろいろなところを歩いた
そのほとんどにおいて、俺は過去を思い出していた
小さい頃のこと
家族で言った旅行のこと
小学生の頃のこと
好きだった女の子のこと
昔の彼女のこと
そうすると不思議と少し心が安定する
俺は幸せだった
愛されていたし、輝いていた
俺の幸せは俺中心にまわっていた
その幸せは、永遠に続くと思っていた
でも、立ち止まり、ふと現実の動く日常が次々に目に入ってくると
瞬間的にどうしようもない不安が襲ってくる
ステージの上でも感じたことのない、嫌な緊張感、いやな汗
逃げたい
ここから逃げたい
真っ向勝負の俺が、はじめて逃げたいと思った現実
でもそんなことできやしない
どうして?
責任感?未練?愛着?恐怖?
もうこんな風になってしまってリーダーも何もないだろう
考え始めると、震えるほどの恐怖が襲ってくる
そしてまた、俺はアルコールに逃げる
なんの解決にならないことがわかっていても
一時的にでもこの恐怖から逃げられるのなら
俺にとっては必要なシェルターだった
-あの夜
自分でも飲みすぎだと思った
でも酒に強くもない俺が
飲んでも飲んでも不思議と意識がはっきりしていた
あいつには見るなといっておきながら
TVで、ネットで、雑誌で、あらゆるメディアからの情報をチェックしていた
「どんな批判も甘んじて受け入れよう」
そう覚悟を決めていたけど
現実はそんな甘いもんじゃなかった
誰かに聞きたかった
-俺は愛されているのか
誰かに答えて欲しかった
チャンミン・・・お前を傷つけた
こんな現実の中で、お前が唯一の希望だった
お前だけは何があっても守る
そう決めていた
それなのに
自分自身の正気さえあやうくなる現実
愛される自信がなくなる現実
愛を・・・求めてしまう現実
嫉妬だったのか?
お前への?彼女への?
誰かの愛を欲しかったのか?
俺は自分のしたことをはっきりと覚えていた
お前の愛が欲しかったんだ
-でもそれは間違っている
自分の気持ちを抑えるため、俺は覚えていないと嘘をついた
してしまった現実が、君を傷つけたと思った
これ以上、君を傷つけてどうする?
何やってんだ
しっかりしろよ
堂々巡りの毎日
逃げ場のない現実
終わることのない夜
そして俺は歩く
何かに向かうように
何かから逃げるように
-気づくと
空気の匂いや風の質感が変わっていた
-海だ
俺はとうとう海の近くまで来ていた
バックミュージック及びエンディングテーマに「シアワセ色の花」をイメージして文章にしています。
「Stand by U」シリーズのユノ目線です。
詳しくは「Stand by U」をお読みいただけるとうれしいです。
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「Stand by U ~scene16~」あたりからのユノです。
haruno

シアワセ色の花 ~scene1~

地下鉄の路線図を眺めていた
色とりどりの線が、蜘蛛の巣のように張り巡らされている
考えてみれば、故郷から出てきて以来、地下鉄に乗ったのなんて練習生時代のわずかな時間だけだ
それも寮から2,3駅離れたところぐらい
「世界に羽ばたく」なんて言われたものの、俺の知っている世界なんて実は半径10km圏内だったのかもしれない
なんだかおかしくなって自嘲気味に笑う
どこへ行こうか
時間はたっぷりある
そうか・・・・地下鉄にのるまでもない
歩こう
クタクタになるまで
何も考えず
そうして俺は歩くようになった
何日も何日も
行ったこともないところへ
俺の知らないところへ
俺のことを知らない人々のところへ
いろいろなところを歩いた
そのほとんどにおいて、俺は過去を思い出していた
小さい頃のこと
家族で言った旅行のこと
小学生の頃のこと
好きだった女の子のこと
昔の彼女のこと
そうすると不思議と少し心が安定する
俺は幸せだった
愛されていたし、輝いていた
俺の幸せは俺中心にまわっていた
その幸せは、永遠に続くと思っていた
でも、立ち止まり、ふと現実の動く日常が次々に目に入ってくると
瞬間的にどうしようもない不安が襲ってくる
ステージの上でも感じたことのない、嫌な緊張感、いやな汗
逃げたい
ここから逃げたい
真っ向勝負の俺が、はじめて逃げたいと思った現実
でもそんなことできやしない
どうして?
責任感?未練?愛着?恐怖?
もうこんな風になってしまってリーダーも何もないだろう
考え始めると、震えるほどの恐怖が襲ってくる
そしてまた、俺はアルコールに逃げる
なんの解決にならないことがわかっていても
一時的にでもこの恐怖から逃げられるのなら
俺にとっては必要なシェルターだった
-あの夜
自分でも飲みすぎだと思った
でも酒に強くもない俺が
飲んでも飲んでも不思議と意識がはっきりしていた
あいつには見るなといっておきながら
TVで、ネットで、雑誌で、あらゆるメディアからの情報をチェックしていた
「どんな批判も甘んじて受け入れよう」
そう覚悟を決めていたけど
現実はそんな甘いもんじゃなかった
誰かに聞きたかった
-俺は愛されているのか
誰かに答えて欲しかった
チャンミン・・・お前を傷つけた
こんな現実の中で、お前が唯一の希望だった
お前だけは何があっても守る
そう決めていた
それなのに
自分自身の正気さえあやうくなる現実
愛される自信がなくなる現実
愛を・・・求めてしまう現実
嫉妬だったのか?
お前への?彼女への?
誰かの愛を欲しかったのか?
俺は自分のしたことをはっきりと覚えていた
お前の愛が欲しかったんだ
-でもそれは間違っている
自分の気持ちを抑えるため、俺は覚えていないと嘘をついた
してしまった現実が、君を傷つけたと思った
これ以上、君を傷つけてどうする?
何やってんだ
しっかりしろよ
堂々巡りの毎日
逃げ場のない現実
終わることのない夜
そして俺は歩く
何かに向かうように
何かから逃げるように
-気づくと
空気の匂いや風の質感が変わっていた
-海だ
俺はとうとう海の近くまで来ていた
