Stand by U ~scene16~
ひっそりとはじめています
バックミュージック及びエンディングテーマに「Stand by U」をイメージして文章にしています。
詳しくは「Stand by U ~prologue」をご覧下さい。
<続きを読む>
から「scene16」がはじまります
FC2ブログランキング
Stand by U ~scene16~

久しぶりに彼女と会うことになった
もちろん楽しみじゃないといえば嘘になる
でも、以前とは違った感情をもっていることも
やっぱり認めなければならない
お互いの近況
僕の仕事の話
彼女の仕事の話
最近の映画の話
共通の知り合いの話
とりとめのない、たわいない話だったが
久しぶりに仕事以外の人と過ごす時間は
思いのほか新鮮で楽しいものだった
でも、楽しいと思えた次の瞬間に
「これでいいのか」と冷静に自問自答する自分もいる
肝心なところはお互いに避けていた
彼女も聞きたいであろうこと
僕もはなさなければいけないこと
そこの部分は暗黙の了解のようにお互いが避けていた
「次はいつ会えそう?」
次
そうか、次か。
当たり前だよな、普通の恋人同士なら
でも僕は返事が出来なかった
約束もできなかった
「ただいま・・・」
思いのほか遅くなってしまい、ヒョンは寝ているかもと思い小声で言う
リビングの間接照明がともっている
ソファーで寝てる?
ヒョンはソファーの背もたれに体をうずめ、目を閉じていた
ガラステーブルの上には、PCと
ビールやらワインやらの空き缶・空き瓶が転がっていた
やれやれ、また飲んだのか・・・
僕は音をたてないようにして、それらを片付けようとした
「・・チャンミナ・・・仕事か・・・?」
「ヒョン・・・起きてたの?」
いきなり話しかけられ、僕はかなり動揺していた
「うん・・・そうだよ・・」
なぜだかわからないけど
僕は咄嗟に嘘をついた
そんな必要ないのに
「・・・嘘だろ?今日はオフってマネージャーが言ってたぜ」
ヒョンは軽く鼻で笑って、少し意地悪そうに言った
「別に俺に遠慮することはないよ」
ヒョンはかなり酔っ払っているようにみえた
僕はなぜかすごく居心地が悪くて早くその場を立ち去りたかった
「こんなとこで寝ると風邪ひくよ。全くこんなに飲んで・・。早く寝ろよ」
と顔も見ずに言い捨てて、立ち上がろうとした
その時、不意にヒョンに腕を掴まれた
「・・・・・一緒に寝るか?」
何をいってるんだ
僕は一気に耳まで顔が赤くなるのがわかった
今までだって一緒に寝ることはあった
でもそれはどちらからともなく自然な成り行きでそうなっていただけのことだ
こんな風にいわれると
僕はなぜか激しく動揺していた
「飲みすぎだよ、ヒョン!いい加減にしろよ!」
僕は動揺を隠すために大げさに手を振り払おうとした
でもヒョンは僕の腕を離そうとはしなかった
「うまくいってんの?」
「何が?」
「彼女と」
「別に!ヒョンとは関係ないよ!」
普通に言えばいいのに
僕はそのことをヒョンには聞かれたくなくて
話したくなくて
ついついそっけない言い方になる
ヒョンはだいぶ酔っている
酒臭い匂いもプンプンするし、いやにからむ
もともとお酒の強い人じゃない
あの空き缶から察するに、もうかなりフラフラなはずだ
「ヒョン・・かなり酔っ払っているでしょう」
「・・・・酔ってねーよ」
「どこが!!ほら早くベッドいって寝て!」
「・・・・・・どっちのベッド?」
また意地悪く笑いながら僕の顔を伺う
なんなんだよ
なんで今日はそういう風にからむんだよ
「いい加減にしろよ!!」
僕がそういってまた腕を振り払おうとしたとき
不意に
ヒョンは僕の腕を引っ張り
僕はその勢いでヒョンの隣に座るようなカタチになった
その時フリーズしていたPCの画面がはずみで動き
映った画面には
僕もみたくなくなるような
ヒョンへの誹謗中傷の言葉の数々、画像・・・・・
ヒョンは毎晩ひとりでこれをみていたのか
こんなことまで受け入れようとしているのか
泣きそうになっている僕と目が合う
ヒョンも泣きそうな顔をしていた
僕らだけが共有できるどうしようもない悲しみ
僕らだけが分かち合えるどうしようもない苦しみ
僕とヒョンは
お互いに
成り行きに身を任せるように身体を寄せ合った
ひとりで乗り越えようとするなよ
ひとりでなんでも受け入れようとするなよ
僕があなたのとなりにいる意味はなに?
僕がヒョンを見上げた瞬間
ヒョンの顔が近づいてきた
僕は当然のように
それを受け入れていた

バックミュージック及びエンディングテーマに「Stand by U」をイメージして文章にしています。
詳しくは「Stand by U ~prologue」をご覧下さい。
<続きを読む>
から「scene16」がはじまります

Stand by U ~scene16~

久しぶりに彼女と会うことになった
もちろん楽しみじゃないといえば嘘になる
でも、以前とは違った感情をもっていることも
やっぱり認めなければならない
お互いの近況
僕の仕事の話
彼女の仕事の話
最近の映画の話
共通の知り合いの話
とりとめのない、たわいない話だったが
久しぶりに仕事以外の人と過ごす時間は
思いのほか新鮮で楽しいものだった
でも、楽しいと思えた次の瞬間に
「これでいいのか」と冷静に自問自答する自分もいる
肝心なところはお互いに避けていた
彼女も聞きたいであろうこと
僕もはなさなければいけないこと
そこの部分は暗黙の了解のようにお互いが避けていた
「次はいつ会えそう?」
次
そうか、次か。
当たり前だよな、普通の恋人同士なら
でも僕は返事が出来なかった
約束もできなかった
「ただいま・・・」
思いのほか遅くなってしまい、ヒョンは寝ているかもと思い小声で言う
リビングの間接照明がともっている
ソファーで寝てる?
ヒョンはソファーの背もたれに体をうずめ、目を閉じていた
ガラステーブルの上には、PCと
ビールやらワインやらの空き缶・空き瓶が転がっていた
やれやれ、また飲んだのか・・・
僕は音をたてないようにして、それらを片付けようとした
「・・チャンミナ・・・仕事か・・・?」
「ヒョン・・・起きてたの?」
いきなり話しかけられ、僕はかなり動揺していた
「うん・・・そうだよ・・」
なぜだかわからないけど
僕は咄嗟に嘘をついた
そんな必要ないのに
「・・・嘘だろ?今日はオフってマネージャーが言ってたぜ」
ヒョンは軽く鼻で笑って、少し意地悪そうに言った
「別に俺に遠慮することはないよ」
ヒョンはかなり酔っ払っているようにみえた
僕はなぜかすごく居心地が悪くて早くその場を立ち去りたかった
「こんなとこで寝ると風邪ひくよ。全くこんなに飲んで・・。早く寝ろよ」
と顔も見ずに言い捨てて、立ち上がろうとした
その時、不意にヒョンに腕を掴まれた
「・・・・・一緒に寝るか?」
何をいってるんだ
僕は一気に耳まで顔が赤くなるのがわかった
今までだって一緒に寝ることはあった
でもそれはどちらからともなく自然な成り行きでそうなっていただけのことだ
こんな風にいわれると
僕はなぜか激しく動揺していた
「飲みすぎだよ、ヒョン!いい加減にしろよ!」
僕は動揺を隠すために大げさに手を振り払おうとした
でもヒョンは僕の腕を離そうとはしなかった
「うまくいってんの?」
「何が?」
「彼女と」
「別に!ヒョンとは関係ないよ!」
普通に言えばいいのに
僕はそのことをヒョンには聞かれたくなくて
話したくなくて
ついついそっけない言い方になる
ヒョンはだいぶ酔っている
酒臭い匂いもプンプンするし、いやにからむ
もともとお酒の強い人じゃない
あの空き缶から察するに、もうかなりフラフラなはずだ
「ヒョン・・かなり酔っ払っているでしょう」
「・・・・酔ってねーよ」
「どこが!!ほら早くベッドいって寝て!」
「・・・・・・どっちのベッド?」
また意地悪く笑いながら僕の顔を伺う
なんなんだよ
なんで今日はそういう風にからむんだよ
「いい加減にしろよ!!」
僕がそういってまた腕を振り払おうとしたとき
不意に
ヒョンは僕の腕を引っ張り
僕はその勢いでヒョンの隣に座るようなカタチになった
その時フリーズしていたPCの画面がはずみで動き
映った画面には
僕もみたくなくなるような
ヒョンへの誹謗中傷の言葉の数々、画像・・・・・
ヒョンは毎晩ひとりでこれをみていたのか
こんなことまで受け入れようとしているのか
泣きそうになっている僕と目が合う
ヒョンも泣きそうな顔をしていた
僕らだけが共有できるどうしようもない悲しみ
僕らだけが分かち合えるどうしようもない苦しみ
僕とヒョンは
お互いに
成り行きに身を任せるように身体を寄せ合った
ひとりで乗り越えようとするなよ
ひとりでなんでも受け入れようとするなよ
僕があなたのとなりにいる意味はなに?
僕がヒョンを見上げた瞬間
ヒョンの顔が近づいてきた
僕は当然のように
それを受け入れていた
