after a concert
After a concert
「これが終わったら温泉が待ってるぞ~」
ヒョンがコンサート後に楽しみにしていた温泉
ツアーも終盤に差し掛かっていて
僕もヒョンも毎回テンションは異様に高いんだけど、身体はこれ以上ないくらいの悲鳴をあげていた
スタッフが僕らのために(多分すごく高いであろう)温泉旅館を予約してくれていた
いつもホテルに泊まることが多い僕らにとって、日本の温泉旅館に泊まれることはすごく新鮮なことだった
豪華だけど落ち着いた雰囲気の旅館
一般のお客さんを気にしてか
スタッフは露天風呂のついた多分1番高いのではないかと思われる部屋を、僕とヒョンに用意してくれていた
「すごいね~チャンミナ~」
ヒョンは遊園地に来た子供みたいに、いろんなところを見回してははしゃいでいた
「ヒョン・・お願いだから高そうなものに触らないでよ」
「わかってるって~」
だから、絶対わかってないって、この男は。
夕飯もとても豪華なもので
コンサートでお腹がすいていた僕らは日本の美味しい食べ物をこれでもかというくらい堪能していた
ずっと同じ釜の飯を食べ、苦楽を共にしているスタッフと僕らはもう家族のような雰囲気になっていて
アルコールもいい具合に入り、本当に楽しい時間を過ごすことができた
日付も変わり、そろそろ僕も眠くなってきた
ああ・・このまま誰にも邪魔されずに眠ることができたらどんなに幸せだろう・・
と思っていたところに
やっぱりヒョンが唐突に提案してきた
「チャンミナ」
「・・ん・・」
「お風呂・・・行かない?」
「え?さっき入ったじゃん」
「俺部屋風呂じゃなくて大きいお風呂に入ってみたい」
「・・・・・」
「いいじゃん。この時間だったらもう誰もいないって」
「だったらひとりで行けよ」
「やだよ。それはやだ。チャンミナが一緒に行かなきゃ行かない」
-だったら行くな
喉まで出かかった言葉を寸でのところで飲み込む
1度言いだしたらヒョンは絶対ひかない
だったら無用な言い合いは避けるべきだ
僕もだいぶ疲れている
それに・・・ひとりで行かせて何かあっても心配だ・・・
やれやれ
「わかったよ・・・」
僕は大げさにため息をついてお風呂の準備をする
ヒョンの嬉しそうな顔
全く・・・かなわないな・・・・。
「チャンミナ、みんなみたいにこれ着てみようよ」
ヒョンが興味を示したのは浴衣。
スタッフやダンサーさんが着ていたこれが、ヒョンはすごく気になっていたみたいだ
韓服に似ているので着方はなんとなくわかるけど・・・・
「チャンミナ、どうだ!」
僕は浴衣を着たヒョンを見て思わず吹き出す
「ヒョン・・・どうみたって丈が短い」
「特大」って書いてあるけど、180cmを超える僕らの身長にはやっぱり短い
なんとなく間抜けな浴衣姿だけど、ヒョンはすごく気に入ったみたいだ
「チャンミナも着なよ。楽だよ」
「No,Thanks you」
ヒョンは着ればいいのに・・ってぶつぶついいながら、タオルを持って大浴場へと向かった
この時間になると、さすがに大浴場には誰も入ってはいなかった
「おお~チャンミナ~すご~い!!」
部屋風呂とは違うスケールに、ヒョンは大はしゃぎだった
「ヒョン・・誰もいないからって・・・前くらい隠せよ」
「そうか~いいじゃん・・・チャンミナ女みたい」
-あなたが無神経すぎるんだよ
「チャンミナ、露天風呂も行こうよ」
もう抵抗する気力もなく、僕は誘われるがままにヒョンと2人で露天風呂へと入った
「っだあ~~~気持ちいい~~~」
外は満点の星空だった
ヒョンは体を投げ出して、気持ちよさそうに目を閉じている
確かに、これは気持ちがいい
身体はすごくあったまるんだけど、首から上は外の冷気で冷やされるおかげで
のぼせることなくずっとつかることができる
僕は不思議な気持ちで星空を見上げていた
今、この瞬間
ヒョンと2人で
満点の星空の下で
こうやってゆったりと幸せを感じられる奇跡
こんな日が来るなんて
あの頃の僕は想像もできなかった
「チャンミナ~」
「・・ん~?」
「幸せだ~」
「・・・ん~・・・」
ヒョンも、多分同じことを感じてる
一緒にこの星を見られてよかった・・・・
僕はなんだかんだ言っても
ここに連れてこられたことを感謝せずにはいられなかった
部屋に戻って、やっと眠ろうという時になって
またヒョンがおかしくなった
「チャンミナ・・・なんか布団って・・照れるね」
「・・・・・何が?・・・」
「なんていうか・・・・イメージがさ・・・ほら・・」
自分で言って自分で照れるヒョン
・・・・この鈍感男・・・・。
そんな発言をさらっとするなよさらっと。
僕はどんな反応をすればいいんだよ。
「チャンミナ、布団くっつけよ」
「・・・なんで・・・」
「だって・・さみしいじゃん。こんなに離れてたら」
「やだよ。ヒョンに蹴られるし」
「いつもそんなことしてないじゃん」
「僕が・・またヒョンに思いっきり手をバーンってやるかもよ」
「別にいいよ。そしたらまたテレビで言っちゃお」
-勘弁してくれ・・・・
ふとんをずずーっと押して、2つくっつけるヒョン
ほんと、子供みたいだ
「もう枕元以外の電気消すよ」
「おう」
2つ並べた布団で、僕とヒョンはこんなだだっ広い部屋に不釣合いなくらい、小さく小さく寄り添って寝ていた
「チャンミナ・・・」
「ん・・」
「幸せだな」
「・・ん?」
「こんな時間も・・すごく幸せだよ」
「・・・ん・・」
僕はなんだか落ち着かなくて
次にくるヒョンの言葉を
ドキドキしながら待っていた
でも、いくらドキドキしながら待っていてもヒョンからは何もなくって
おかしいなと思ってふとヒョンを見ると
ヒョンは
・・・・寝ていた・・・。
スースー寝息を立てて。
-全くこの男は・・・。
人をその気にするだけしておいて
僕は一体・・・どうすりゃいいんだよ・・・。
朝起きると、寝相の悪いヒョンは浴衣が全部はだけていて
帯だけがお腹に残っていた。
その間抜けすぎる姿に思わず笑ってしまう。
「・・・・・おはよ・・・チャンミナ・・・」
まだ寝ぼけならがヒョンがつぶやく
「ヒョン・・・海苔巻きみたい・・・」
「え?」
「帯が寿司の卵に巻いてる海苔みたいになってるよ」
ヒョンは自分の体をみて、やっと自分の置かれている状況に気づく
「あ・・・ほんとだ・・・チャンミナうまいこというなあ」
屈託なく笑うヒョン。
ステージのカリスマがこれかよ・・・。
どうでもいいけど、早く服着てくれないかなあ。
目のやり場に
相当困ってるんだけど。
そしてこの時には
まさかこのネタがコンサートでヒョンの口から出るとは
想像もしなかったんだ
「そしたら、僕は海苔!」
ヒョン・・・・責任取れ
ヒョンが円形ステージで「僕は海苔」って言うたびに
僕は赤くなる顔をどうしていいか困ってるんだ・・・・
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「これが終わったら温泉が待ってるぞ~」
ヒョンがコンサート後に楽しみにしていた温泉
ツアーも終盤に差し掛かっていて
僕もヒョンも毎回テンションは異様に高いんだけど、身体はこれ以上ないくらいの悲鳴をあげていた
スタッフが僕らのために(多分すごく高いであろう)温泉旅館を予約してくれていた
いつもホテルに泊まることが多い僕らにとって、日本の温泉旅館に泊まれることはすごく新鮮なことだった
豪華だけど落ち着いた雰囲気の旅館
一般のお客さんを気にしてか
スタッフは露天風呂のついた多分1番高いのではないかと思われる部屋を、僕とヒョンに用意してくれていた
「すごいね~チャンミナ~」
ヒョンは遊園地に来た子供みたいに、いろんなところを見回してははしゃいでいた
「ヒョン・・お願いだから高そうなものに触らないでよ」
「わかってるって~」
だから、絶対わかってないって、この男は。
夕飯もとても豪華なもので
コンサートでお腹がすいていた僕らは日本の美味しい食べ物をこれでもかというくらい堪能していた
ずっと同じ釜の飯を食べ、苦楽を共にしているスタッフと僕らはもう家族のような雰囲気になっていて
アルコールもいい具合に入り、本当に楽しい時間を過ごすことができた

日付も変わり、そろそろ僕も眠くなってきた
ああ・・このまま誰にも邪魔されずに眠ることができたらどんなに幸せだろう・・
と思っていたところに
やっぱりヒョンが唐突に提案してきた
「チャンミナ」
「・・ん・・」
「お風呂・・・行かない?」
「え?さっき入ったじゃん」
「俺部屋風呂じゃなくて大きいお風呂に入ってみたい」
「・・・・・」
「いいじゃん。この時間だったらもう誰もいないって」
「だったらひとりで行けよ」
「やだよ。それはやだ。チャンミナが一緒に行かなきゃ行かない」
-だったら行くな
喉まで出かかった言葉を寸でのところで飲み込む
1度言いだしたらヒョンは絶対ひかない
だったら無用な言い合いは避けるべきだ
僕もだいぶ疲れている
それに・・・ひとりで行かせて何かあっても心配だ・・・
やれやれ
「わかったよ・・・」
僕は大げさにため息をついてお風呂の準備をする
ヒョンの嬉しそうな顔
全く・・・かなわないな・・・・。
「チャンミナ、みんなみたいにこれ着てみようよ」
ヒョンが興味を示したのは浴衣。
スタッフやダンサーさんが着ていたこれが、ヒョンはすごく気になっていたみたいだ
韓服に似ているので着方はなんとなくわかるけど・・・・
「チャンミナ、どうだ!」
僕は浴衣を着たヒョンを見て思わず吹き出す
「ヒョン・・・どうみたって丈が短い」
「特大」って書いてあるけど、180cmを超える僕らの身長にはやっぱり短い
なんとなく間抜けな浴衣姿だけど、ヒョンはすごく気に入ったみたいだ
「チャンミナも着なよ。楽だよ」
「No,Thanks you」
ヒョンは着ればいいのに・・ってぶつぶついいながら、タオルを持って大浴場へと向かった
この時間になると、さすがに大浴場には誰も入ってはいなかった
「おお~チャンミナ~すご~い!!」
部屋風呂とは違うスケールに、ヒョンは大はしゃぎだった
「ヒョン・・誰もいないからって・・・前くらい隠せよ」
「そうか~いいじゃん・・・チャンミナ女みたい」
-あなたが無神経すぎるんだよ
「チャンミナ、露天風呂も行こうよ」
もう抵抗する気力もなく、僕は誘われるがままにヒョンと2人で露天風呂へと入った

「っだあ~~~気持ちいい~~~」
外は満点の星空だった
ヒョンは体を投げ出して、気持ちよさそうに目を閉じている
確かに、これは気持ちがいい
身体はすごくあったまるんだけど、首から上は外の冷気で冷やされるおかげで
のぼせることなくずっとつかることができる
僕は不思議な気持ちで星空を見上げていた
今、この瞬間
ヒョンと2人で
満点の星空の下で
こうやってゆったりと幸せを感じられる奇跡
こんな日が来るなんて
あの頃の僕は想像もできなかった
「チャンミナ~」
「・・ん~?」
「幸せだ~」
「・・・ん~・・・」
ヒョンも、多分同じことを感じてる
一緒にこの星を見られてよかった・・・・
僕はなんだかんだ言っても
ここに連れてこられたことを感謝せずにはいられなかった
部屋に戻って、やっと眠ろうという時になって
またヒョンがおかしくなった
「チャンミナ・・・なんか布団って・・照れるね」
「・・・・・何が?・・・」
「なんていうか・・・・イメージがさ・・・ほら・・」
自分で言って自分で照れるヒョン
・・・・この鈍感男・・・・。
そんな発言をさらっとするなよさらっと。
僕はどんな反応をすればいいんだよ。
「チャンミナ、布団くっつけよ」
「・・・なんで・・・」
「だって・・さみしいじゃん。こんなに離れてたら」
「やだよ。ヒョンに蹴られるし」
「いつもそんなことしてないじゃん」
「僕が・・またヒョンに思いっきり手をバーンってやるかもよ」
「別にいいよ。そしたらまたテレビで言っちゃお」
-勘弁してくれ・・・・
ふとんをずずーっと押して、2つくっつけるヒョン
ほんと、子供みたいだ
「もう枕元以外の電気消すよ」
「おう」
2つ並べた布団で、僕とヒョンはこんなだだっ広い部屋に不釣合いなくらい、小さく小さく寄り添って寝ていた
「チャンミナ・・・」
「ん・・」
「幸せだな」
「・・ん?」
「こんな時間も・・すごく幸せだよ」
「・・・ん・・」
僕はなんだか落ち着かなくて
次にくるヒョンの言葉を
ドキドキしながら待っていた
でも、いくらドキドキしながら待っていてもヒョンからは何もなくって
おかしいなと思ってふとヒョンを見ると
ヒョンは
・・・・寝ていた・・・。
スースー寝息を立てて。
-全くこの男は・・・。
人をその気にするだけしておいて
僕は一体・・・どうすりゃいいんだよ・・・。

朝起きると、寝相の悪いヒョンは浴衣が全部はだけていて
帯だけがお腹に残っていた。
その間抜けすぎる姿に思わず笑ってしまう。
「・・・・・おはよ・・・チャンミナ・・・」
まだ寝ぼけならがヒョンがつぶやく
「ヒョン・・・海苔巻きみたい・・・」
「え?」
「帯が寿司の卵に巻いてる海苔みたいになってるよ」
ヒョンは自分の体をみて、やっと自分の置かれている状況に気づく
「あ・・・ほんとだ・・・チャンミナうまいこというなあ」
屈託なく笑うヒョン。
ステージのカリスマがこれかよ・・・。
どうでもいいけど、早く服着てくれないかなあ。
目のやり場に
相当困ってるんだけど。
そしてこの時には
まさかこのネタがコンサートでヒョンの口から出るとは
想像もしなかったんだ
「そしたら、僕は海苔!」
ヒョン・・・・責任取れ
ヒョンが円形ステージで「僕は海苔」って言うたびに
僕は赤くなる顔をどうしていいか困ってるんだ・・・・
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